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海外で学ぶ働く ワタシたちのステップアップ
>> 第3回
Text:Emiko Nakano Photo: Ayumi Shino(portrait)
語学留学だけでは物足りない、なにか自分らしいプラスアルファの学びを加えたい。そんな留学のカタチ、それが趣味留学。あこがれの国で、自分の趣味を極める。そんな優雅で贅沢な時間を過ごすため、留学する人たちもいるのです。 そんなの自分には遠い夢、なんて考えないで。
そう、趣味留学に必要なのは、なりたい自分に対するイメージと、ちょっぴりの度胸、そして入念な下準備。第3回はそんな留学に挑戦した方々にお話をうかがいました。自分のやってみたいことを試してみながら、自分探しや自分磨きのきっかけをつかんだ彼女たちに、明日のワタシたちが見えるかもしれません。
TBSの看板アナウンサーとして活躍した雨宮塔子さんは、1999年の3月、パリに旅立ちました。休職をすすめられながらも、自ら退社の道を選んでの留学でした。「少なくとも3年は暮らそう」と決心してフランスに渡った雨宮さん。仕事も辞め、見知らぬ土地での生活を決意させたものとは、何だったのでしょうか?
留学を決意されたのは1997年頃とうかがいましたが、
フランスを選んだ理由はどんな点にありますか。
西洋の美術史を勉強したいと思っていましたので、本物に触れられる環境で、と考えて決めました。それに、美術以外の点でも、映画、本、食べ物など、好きなものをたどっていくと、たいていフランスに行き着いたというのも理由のひとつですね。
留学当初から、最低でも3年はパリで暮らすことを考えられていたそうですが、その理由などをお教えください。
フランスでの暮らしにある程度慣れたあと、パリで自分なりの暮らし方をどのように展開していくか、ということに興味がありましたから、それくらいの期間は必要だろうと。と言っても、留学前の段階では、美術について学ぶということ以外、具体的な予定をたてていたわけではないんですけれど。
留学のために退職された時、「日本でのキャリアが中断するのではないか」など、不安はありませんでしたか?
少なくともすべて覚悟の上で決心したつもりです。不安はもちろんありました。でも、日本に帰国してからのことを気にするより、これからフランスで何を積み上げていくのか、ということの方にエネルギーを注ぎたいと考えたんです。その結果ということになるでしょうか、現在は、留学中に結婚して子供も生まれ、フランスが生活の本拠地になっています。
留学当初は、語学の学校に通われていたのですね。
99年の3月に渡仏して、半年間は語学学校に通っていました。その年の秋から、美術の勉強のために、ルーヴル美術館内にある「エコール・ド・ルーヴル」に登録しましたので、それ以降は、語学と美術の2つの学校に並行して通っていました。
学校はどのように選ばれましたか?
知人などから話を聞き、すすめられた学校を選びました。私が最終的に選んだ学校は、出席日数や宿題の提出などについて、比較的厳しい学校だったんです。でも、その方が語学力の向上につながると思ったので、そちらを選びました。週5日間、毎日3時間〜5時間の授業を受けていましたね。文法は簡単でしたけれど、ヨーロッパ圏の人たちと一緒に授業を受けた会話のクラスは大変でした。
語学を現地で修得するメリットは、どんな点にあると思われますか?
実際にフランス人と話をする機会が豊富ですから、生きた会話が身につく、ということでしょうか。わからないことがあったらなるべく流さずに、その場で、相手に質問するのが上達の早道だと思います。
語学力が伸び悩んだ時期はありましたか?
実は今なんです。夫の帰宅が遅くて、子供とほぼ2人きりの生活ですので、フランス語を話す機会が以前より減ってしまったんですよ。
エコール・ド・ルーヴルに入学するには、
資格などが必要になるのでしょうか。
私は、エコール・ド・ルーヴルに聴講生として入学しました。聴講生の場合、特に何らかの資格がなくても入学できます。申し込みは、ルーヴルから資料を取り寄せて、登録用紙に記入して送るという方法です。でも、先着順での登録なので、人気のあるクラスはすぐに満員になってしまいますね。
聴講生にはどんな方たちがいらっしゃいましたか?
お仕事を引退されたような年輩の方が多いですね。外国人はほとんどいません。
授業はどのような内容ですか?
週2日間が美術史の授業で、1日2時間〜3時間です。それから「T・D」と言って、学芸員と一緒に実際の作品を見て回り、解説を聞くという授業が週2日ぐらいありました。こちらも1回2〜3時間ほどの授業です。
フランス人ばかりのクラスでヨーロッパの美術史を学ぶには、
どの程度の語学力が必要となりますか?
最低でも約1年ほどフランスに在住している、くらいの語学力は必要になるでしょうか。私の場合は、大学時代に選択した第2外国語こそフランス語でしたが、卒業と同時にほとんど忘れていましたから、当初は授業の3分の1も理解できていたかどうか。文法だけはある程度勉強していたのですが、やはり、簡単な会話や基本的なボキャブラリーを身につけたうえでの聴講の方が、好ましかったと思います。
フランスで長期間暮らしてみて、日本よりもフランスの方がよいと思う点、
また、逆に、不便を感じた点などはありますか?
フランスでは、日本よりも他人への興味が薄いというか、人の目を気にせずに済むところがありますから、より自分らしく暮らせる気がします。普段の生活の中に、楽しみが見出せるところがフランスの魅力でしょうか。たとえば、1人でお茶をするのが寂しくない雰囲気がありますね。本を1冊持ってカフェに行き、コーヒーやアペリティフを飲んだり。ベビーカーでも違和感なく溶け込めますよ。ただし、手続きが煩雑だったり、書類が面倒だったりしますから、その点では日本の方がずっと暮らしやすいですね。
フランスで学ばれたことは、その後のお仕事に、
どのように反映されていますか?
たとえば、エジプトやローマの歴史スペクタクル番組をやらせていただいたとき、ある程度、自分なりの視点を持って番組に臨むことができたのは、やはり、フランス留学の成果だと思います。これからも自分の興味に沿った仕事を手がけていきたいと考えていますので、美術に関する勉強も継続して続けていきたいと思っています。
最後に、これから留学や、また、海外で暮らしてみたいと思っている
女性たちに、何かアドバイスをお願いします。
外国で長く暮らしていくには、現地の生活に無理になじもうと努力するより、自分に合うもの、好きなものを選択して吸収するというような割り切りが、ある程度大切だと思います。その方が楽ですし、自分が何に興味があるのかという方向性も、おのずとハッキリするでしょう。夢を持ち続けるというのは、実は大変なことですが、でも素敵なことですよね。やりたいことは決してあきらめず、実現させる勇気を失わないで下さい。(2004.2.19 更新)
93年成城大学文芸学部卒業後、東京放送(TBS)入社。「どうぶつ奇想天外!」「チューボーですよ!」等の人気番組を担当。99年3月、TBSを退社しパリに留学。語学・西洋美術史等を学ぶ。02年パリ在住のパティシェと結婚、翌年長女を出産する。単身渡仏してからの体験や心情、パリで結婚・出産したことなどを書き綴ったエッセイ
「金曜日のパリ」
(小学館)が発売中。
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