ロルフィング
マッサージでもなく、カイロプラクティックでもなく、整体でもない、しかし筋膜にはたらきかけ、身体のゆがみを直すというロルフィング。うーむ。わかるようなわからないような。具体的にはどんなことをするんでしょう? 今回は、そのロルフィングを受けてきました。

閑静な住宅街の中にあるワークルームに足を踏み入れると、全身にパワーがみなぎった女性のロルファーさんが出迎えてくれました。まずは問診票に記入し、カウンセリング。「ロルフィングに期待すること」という欄に、「自分の身体の本来のバランスを取り戻したい」「自律神経を整えたい」と書いたところ、難しい顔をして考え込んでいるロルファーさん。
ロルファー
「ん〜『本来のバランスを取り戻したい』ということは、
アオノさんは今の自分は、本来のバランスではない……と
思っていらっしゃるわけですよね」
アオノ
「数カ月前に、目の見えない方にマッサージしてもらったことがあるんですが」
ロルファー
「ええ」
アオノ
「壁際に立たされて、お腹と腰の辺を触れられながら、
『もっとお腹に力を入れて! まっすぐ立てませんか?』と言われたんですが、
それ以上力が入らなかったんで、不思議そうな顔をされたんですよ。
で、普通じゃないのかなって」
ロルファー
「ああーーなるほど。
『自律神経を整えたい』というのもなかなか難しいですが、具体的には?」
アオノ
「職業柄、昼夜逆転してるのでふだんから眠りが浅いんです。
あと、これは生まれつきなんですが、体温調節がうまくできなくて」
ロルファー
「ふ〜む……」
う……希望があちこち飛びすぎているかしら?
ここで、あることを思い出したので、言ってみた。
アオノ
「そういえば私サーフィンをやるんですが、
サーフィンをやりすぎた日とか、重い物を持ってたくさん歩いた日って
必ず左あごがずれてガクガクいうんです。腰も痛いし。
ひどいときは顎関節症になるくらい。これは必ずです」
ロルファー
「お、それはいい手がかりですね。……よし! ヒントが見えてきた!」
ロルファーさんの表情がパッと変わった。
何やら、本日の治療方針がかたまってきた様子。
ロルファー
「人はそれぞれ持った歩き方のクセや
どうしてもやってしまうポーズ、動き方がありますよね。
その積み重ねが今の自分を形作っているわけなんですが、
それは必ずしも身体にとって、いい姿勢とは限りませんよね。
で、皆さん不調を訴えるんですが、
ロルフィングはわかりやすく言うと、OSの書き換えなんです」
アオノ
「OSの書き換え?」
ロルファー
「身体にいろんな動きをさせることにより、本来あるべきポジションを思い出させて、
『ああ、こっちの方が楽だ!』と、身体に気づかせてあげるんです。
そうすると、自然に身体の方が動いて正しい位置にいくんですよ」
アオノ
「へぇ〜!」
OSの書き換えなんて、なんて面白い例えなんだろう。
一体これからどんなことが行われるのかしら?
期待で胸はパンパンになり、いざワークへ。
ほぼ下着に近いような格好になって最初に4方向から全身写真を撮り、体型のチェック。
その後、部屋の中を何往復も歩かされ、体重のかかり方や歩き方のクセを見られる。
ロルファー
「うん、まんべんなく全身を使っているし、悪くないですよ」
やった!
自分って、けっこう偏った歩き方をしているのかなと思っていたけれど、
ロルファーさんの一言にうれしくなる。
ロルファー
「次は、左足を前に出して下さい。はい、前に体重をかけて。
今度はゆっくり後ろに体重をかけてみて下さい。はい、ではまた前に」
これを何度も何度も繰り返す。
右足にかえてもう一度。右足が前になると、若干フラフラする。
もう一度左足を前にしてみる。うん、こっちは安定してる。
スムーズにできるまで何度も繰り返す。
ロルファー
「右の方がグラつきますね。歩いているときはどうですか?」
もう一度歩く。さっきまではまったく意識してなかったけど、
歩いているとき、左より右の方が、足を地面につけている時間が短いことに気づく。
これが自分のクセなのかーーー!!
今度はベッドにあお向けに。
片方ずつ足首をつかみ、動きをチェックするロルファーさん。
ひざを曲げたり伸ばしたり、かかとを突き出すように足首を曲げたり。
左足首を持って左右にユサユサ動かすと、頭までいっしょに動いたが、
右足首になると途中でぐにゃぐにゃなってしまい、
腰の辺りで動きが止まってしまった。
ロルファー
「あー右はまっすぐ力が通ってないですね。全部腰に吸収されてる。
これが腰痛の原因ですね」
へえ〜〜!
自分の身体の動き方を改めて体験して、指摘されると、すごく納得できる。
これ以外にも、意識していない動きは山ほどあるんだろうな。
それからは、時間をかけて足の表面をなでたりさすったり、
押さえたりしているロルファーさん。
非常にゆっくりとしていて、身体に何かを覚えこませているかのような動き。
ロルファー
「ゴム銃って知ってます? 人体って、アレによく似てるんですよね。
ゴム銃は、割り箸とゴムだけのシンプルなつくりですよね。
人体も、割り箸にあたる部分は骨で、骨と骨をつなげているのが、ゴムにあたる筋肉。
ゴムは古くなると水分が抜けて硬くなって切れちゃいますけど、
筋肉も年をとると水分が少なくなって硬くなるんですね。
切れることはないけど、動きは鈍くなっていきます」
なるほど。ゴム銃とはまた、わかりやすい例えだ。
それからも、かなり時間をかけて丁寧に足のあちこちを伸ばし、ねじり、
「えっ?! こんなとこ今まで動かしたことないかも?!」的な場所まで、すみずみを動かされる。
ロルフィングはマッサージのようにすべてを相手にゆだねるわけでなく、
あくまでもロルファーさんはナビゲート役で、
正しい動きに気づいて修正していくのは、自分の力なんだそうだ。
うまく相手に身体をゆだねることができれば、矯正も早いそう。
力を抜く訓練とでもいうんだろうか。
それってつまりは、自分の身体に対する思い込みからの脱却?
象徴的だったのが、足を高く持ち上げられたときのこと。
ロルファー
「はい、ここでパッと足を離すんで、自然に落としてみて下さいね」
そう言われても、足はなかなかスムーズに落ちてくれない。
変な防衛本能が働いて、途中で止まってしまう。
あれれれ? 重力があるから、まっすぐ落ちるべきなのに。
4〜5回トライしたあげく、やっとストンと足が落ちた。
ロルファー
「そうです! 今のいいですよ。今の感覚を忘れないで下さいね」
そして足と同じように、腰、首と、筋肉を押さえられ、伸ばされ、
予定の時間を大幅に過ぎたところで、ワークは終了。
最後にもう一度全身の写真を撮り、部屋を何往復か歩いてみる。
ワーク前とは、あきらかに身体のバランスが違っているのがわかる。
ちょっとずつずれていた積み木が、
キレイに組み上がった感じとでもいうのだろうか……。
重力に対して、無理なくまっすぐ立てている感じ。
身体のどこにも余分な力は入っていないように思える。
アオノ
「うわ〜、1回でもけっこう変わるもんですねぇ!」
ロルファー
「本日は体験ということで一気にいろいろやりましたが、
本来は10回かけて、身体の外側から徐々に内側にはたらきかけて整えていくんですよ」
その後、前よりも足の裏を意識して生活すること数日。
ヒールを履いていても、地面って意識できるものなんだなあ。
ロルフィングによって身体が地面の存在を思い出し、
そこにうまくアプローチしようとしているのかも。
生まれて初めて、 自分と重力との関係をリアルに考えました。
◎本日の満足度◎
【癒され度】 ★★★☆☆
【目からウロコ度】 ★★★★★
【また行きたい度】 ★★★★☆
※編集部注:記事に書かれているケースはアオノさんの場合であり、
すべての方に当てはまるわけではありません。
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