Dr.フィッシュセラピー
人の皮膚の角質を食べる魚がいる。それは、トルコに生息するコイの一種らしい。しかもそいつはエステやセラピーとして、活用されているらしい。さらにさらに、日本にいながらにしてそれを体験できる場所があるらしい……。そんな話を聞きつけ、都内の某温泉施設に行ってきました。

受付で「手+足のセットコース」というのを申し込み、さっそくセラピーがスタート。
はじめは、5分間の手のセラピーから。
あまたのDr.フィッシュがうごめく水槽に、何も考えずに手を突っ込む。
すると、我が手をめがけてサーーーーッと集まってくる魚たち。
チョンチョンチョンチョンと、休む間もなく私の皮膚をついばんでいる。
美味しいかしら? そう、それはよかった。もっとたくさんお食べ。
ほーらほら……って、そんなことはあるはずもなく……
「ギャーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
声には出さなかったものの、パニックを起こす。
「今、自分は餌になっている」
「よってたかって食い物にされている(文字通り)」
という感覚が働き、アドレナリンが吹き出し、
生存本能が「逃げろ!」という指令を出す。
「くるんじゃなかった……」と激しい後悔の念に包まれ、一刻も早くここから立ち去りたくなったのでした。
リラックスとはほど遠いんだけど、これってホントにセラピー? どちらかというと、修行に近いんですが。
さて、それからが長かった。
ゾワゾワゾワゾワとくすぐったいような痛いような感覚は続き、
1秒が10秒にも感じられ、10秒が1分にも感じられる。
ビジュアル的にもかなりホラーなことになってる私の手。
小魚が、手のいたる所から生えているようなグロテスクっぷり。
恐ろしいので、なるべく見ないようにしてこの「手食われプレイ」に耐えていると、
「わー見て見てー。アレすごーい!」と人は集まってくるわ、
横からフラッシュはたかれるわで、2重の罰ゲームのよう。
お願いだから、放っておいて!
しかし、ここで嫌がってるだけではあまりに芸がないと思い、
ヒマつぶしもかねていろんなことをやってみた。
軽く曲げていた指を一気にパッと開くと、魚がいっせいに逃げて行く。
これが面白くて、何度もやってみては、大群が移動するさまを楽しんでみた。
それと、これだけたくさんの仲間が獲物めがけて集まってるというのに、
はじの方で我関せず泳ぎ回っている魚がいる。
その中の1匹をターゲットとして定め、
「こっちゃこい、こっちゃこい」と念を送ってみたりもした。
特に食いついてはきませんでしたが。満腹だったんでしょうか。
そうしている間に、ようやく地獄の5分間が終了。
ホッとしたのもつかの間、今度はメインの足セラピーの場所へ移動。
そう、これからがメインなのです。
すっかり憔悴しきり、もはや本日のイベントは終わったも同然みたいな気でいましたが……。
しかも、考えたくないことに、今度は15分間。
ああ、おそろしい!
重い足をひきずり、6畳ほどの浅いプール状のところに腰掛けて、足をふくらはぎまでつけます。
すぐにサーッと集まってくる、Dr.フィッシュたち。
ん? くすぐったいことはくすぐったいけど、手の時ほどには気にならない。なぜだろう?
顔から遠くてよく見えないから、不快感が少ないのか。手よりも足の方が神経が少ないのか。
ここの魚たちはそれほど空腹ではないのか。ちょっとホッとする。
あーー、でも、やっぱりムズムズして、じっとしていられない。
1人でもぞもぞしていると、眼鏡をかけた女性客が1人で入ってきた。
チラ見してみたところ、私ほどには不快感を感じていない様子。
ん? デジカメを取り出したぞ。足を撮ってる!!
もしかして、この人も体験取材だったりして……などと妄想していたら、今度は親子2人が入ってきた。
若いお母さんは特に驚く様子もなく、「ほら、お魚さんよー」なんて子どもに言いながら、
平然と足をお湯につけている。子どもも喜んでいる。
なんでみんな平気なの?
うーーん、私が神経質すぎるのかしら?
ところが10分を過ぎる頃、なんとなく自分の感覚が変わってきた。
くすぐったいことはくすぐったいけれど、なんとなくもっと続けてほしいようなリズムがある。
魚の動きはとても細かい上に、ひれを動かしながら食いついてくるので、
何百匹もの振動が足に伝わって、微弱電流のような感じがしてくるんですね。
痛いけどやめないでほしい、くすぐったいけどなくなったらちょっと寂しい、
恋人にしてもらうマッサージのよう。
指の股の間から顔を出す輩もいたりして、
「どこに入り込んでるんじゃーー!」
と思いながらも、憎めない。
お魚さんとたわむれるって、けっこういいかも……。うん、やっとセラピーっぽくなってきた。
さて、15分が終了し、みょうな気分で足を引き上げ、自分の手足をじっくり観察してみた。
どれくらいツルツルになったのか? ……すみません、よくわかりませんでした。
もともと足にあまり角質がつくタイプではないので
(座りっきりで原稿書き&通勤がないため、恐ろしいほどに歩かない生活をしている)、
ビフォーアフターがはっきりしませんでした。
サンダル履きまくりで靴ズレしまくりな、夏に試した方がよかったかもしれません。
-----◎本日の満足度◎-----
【癒され度】 ★★☆☆☆
【目からウロコ度】 ★★★★★
【また行きたい度】 ☆☆☆☆☆


